2007年12月2日日曜日

工藤達也ゼミ紹介

 まずゼミ室に入ると、まるでそこは寂れた酒場にある一軒の飲み屋に似た「しぶい」雰囲気が漂う。毎週ゼミの時間になると、決して多くはない数のゼミ生たちが常連客のようにぽつりぽつりと座っている。ゼミのテーマが批評理論というせいだけあってか、アカデミックな影が、秋ともなると、さらに色濃くゼミ室にさす・・・。うーん、やはり「しぶい」。

  しかし、最近は、意外と注文に哲学・思想の発表が多いのはなぜだろう—。いや、これまじで疑問。これは発表者も、聞く方も教師も難儀するものだが、学問の精髄を探ろうという期待と傾向が強いのはよしとして、これは21世紀の珍現象ではなかろうか?・・・考えてしまう。 

 さて今日はというと、「カントの批判理論について、やりまーすっ」、という発表者の屈託ない声。うっ、こいつは手強い発表になりそうだ・・・。レジュメが配られ、発表が一通り終わる。そして、沈黙がゼミ室を支配する。

  「われわれは知識を共有できたであろうか?」と疑問を持つこの瞬間の沈黙—、これが私は一番こわい。そこで教師は学生を時には挑発し、そして発表者と互いに模索しながらたどたどしく説明を開始する。教師の額から汗が流れ、つばが飛び、チョークが折れる。そして終業のチャイムが鳴るころには、すでに喉がからから、疲労困憊だ。そして、最後に一言「来週の発表は誰?」。「私でーす、アドルノについてやりまーすっ」、ひーっ。次はアドルノっすかぁ、こりゃまた手強い・・・。

  まあこんなのが、ある日のゼミの一光景ですが、要はゼミでは原則、毎週常連(=学生)の皆さんの自由な発表に工藤がコメントを加える形態をとっています。哲学・思想関係だけではなく、前はウイリアム・モリスとその影響(アール・ヌヴォー、ユーゲント・シュティールなど)を調べてもらったこともあったし、『戦艦ポチョムキン』などの古典的映画を鑑賞したこともあった。建築でも写真でも興味があったら、まぁ敷居は高くないから気楽にゼミをのぞきにいらっしゃい。そりゃもう難しい話題も簡単な話題も歓迎しますよ。学生=常連さんといっても毎回は参加しないのもいて困ったものですが、しかしまあ、そんな「いやみ」はぬきにして、とにかく新歓コンパは明るいお好み焼き屋さん(予定)で、みんな盛り上がりましょう!

 


ちなみに写真は上がカント、下がアドルノ。ねっ、やっぱ「しぶい」でしょ。

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