2016年11月18日金曜日

【学生記事】 (かんたんに)シュトレンつくる

ハロウィンを過ぎると、次第に街中はイルミネーションに彩られ始めます。
そう、次に来たるべきイベントはクリスマス!
11月も半ばを過ぎて、クリスマスの気配が近づくとともに、気分も浮き足立ってきます。

今回のテーマは、ドイツクリスマスの風物詩であるお菓子、シュトレン。
一緒に、簡単に作れるレシピと作り方を、写真付きでお送りいたしますので
どうぞお楽しみに!


1.    シュトレンってなんだ



最近、日本のパン屋やお菓子屋でも見かけるようになったため、シュトレンをご存知の方も多いのではないでしょうか。

シュトレンは、ドライフルーツやナッツ、シナモンなど数種類のスパイスをふんだんに練りこみ、更にバターをたっぷり入れたドイツクリスマスの伝統的な焼き菓子。
14世紀のドレスデンが発祥とされ、粉砂糖のたっぷりかかったその姿は、白いおくるみに包まれた幼子イエスを模していると言われています。
バターや洋酒が使われていて日持ちするため、ドイツではクリスマスの約一か月前に
シュトレンを焼き、薄くスライスして毎日一切れずつ食べながらクリスマスを待つのが習慣となっています。

ちなみに日本では「シュトーレン」と呼ばれることもありますが、ドイツ語の実際の発音に倣うと「シュトレン(Stollen)」が近いそうですよ。

2.シュトレンをつくってみる

 ドイツでもシュトレンはパン屋などで売られているものの、家庭で手作りする人も多いようです。ですが、本格的なシュトレンはイーストを使って、捏ねて発酵させ、更にドライフルーツやオレンジピール、スパイス、バターやナッツを大量に使うという手間も時間も材料もかかるもの。
お菓子作りビギナーにはちょっとハードルが高い代物です。

 ですが、インターネットで検索すると、スパイスを省略したり、ホットケーキミックスを使った簡易版シュトレンのレシピを見つけることができます。
今回作ってみるシュトレンも、イーストではなくベーキングパウダーを使った簡単バージョン。スパイスも入っていないし、ドライフルーツもレーズンだけ。
正統な作り方とは異なっているため、本格派のものとは味・食感の上で違いがあるシュトレンもどきに近いシュトレンなのですが、たっぷり入ったアーモンドの香りが香ばしくて、これはこれで美味しい。

要領の悪い私でも、計量からオーブンに入れるまで30分かからなかったと思います。

ドイツクリスマス気分を手軽に楽しみたい、という方はよろしければお試しください。

それでは参りましょう!

(参照したレシピは、栗原はるみさんのレシピ(haru_mi vol.34冬号掲載)です。)

    準備
まず、計量し、下ごしらえから。
<材料>
くるみ   50g
 レーズン  150g
 ラム酒   大さじ1
砂糖    80g
 バター   30g
A)薄力粉(または強力粉) 100g  
   ベーキングパウダー  小さじ1
  アーモンドパウダー   200g
B)      1
   牛乳    1/4カップ
粉砂糖・グラニュー糖各適量

バターはあらかじめ1センチ角に切り、冷蔵庫で冷やしておきます。
レーズンは、熱湯でさっと洗ったら水気をふき取り、ラム酒をふりかけておきます。
くるみは荒目に刻んでおきましょう。
粉類は合わせて、ボールにふるい入れます。
そして、忘れずにオーブンを160度に予熱。

できたのがこちら~!


左上から反時計回りに、卵&牛乳、くるみ、レーズン、バター、砂糖、粉類

    混ぜる
まず、砂糖を粉の入ったボールにざーっと投入!
全体をふんわりと混ぜます。


次はバター登場。
さらさらになるまで粉とすり合わせましょう。



跡形もなくなりました。

バターが合わさったら、くるみ、レーズンの順に混ぜていき、
最後に卵と牛乳をボールに投入し、生地をひとまとめにします。

この間、手がベタベタでカメラを握れなかったので、写真はなしですご容赦ください。

    成形
  生地が出来上がったので、シュトレンの形に成形します。
  かたまりをボールから、オーブンシートの上に移して、生地を楕円形に平べったく伸ばします。


手を洗ってきたので、写真を撮りました。これがシュトレンの生地です。

伸ばしたら、横から3分の2くらいの位置で折り返し、真ん中だけもこっとさせた
細長い山のような形に整えます。

このとき私は手を汚したくなかったので、伸ばすのも折るのも、すべて手を使わずにゴムべらでペタペタやりました。面倒くさがりの人はまねしてください。
本格シュトレンを作る人には叱られるかもだけど。


できました!

今回は、友人にプレゼントするように2つ作りました。
彼女はレーズンが嫌いなので、レーズンだけ抜きで。
左の茶色単色の塊が友人用です。

   焼成
  さてさて、シュトレン作りも大詰め。オーブンに入れて焼きますよ!
  160度に熱しておいたオーブンに入れたら、約40分焼きます。


   仕上げ
やっとオーブンから出てきました~!!!
でも、まだまだ仕上げ作業が残っています。
オーブンから取り出して、シュトレンが冷めたら、茶こしで粉砂糖を降りかけます。


 本場のは、粉砂糖の層になるまで砂糖をたっぷり振り掛けるのですが
 カロリーが怖いので、今回は控えめ……。
 本来のシュトレンと、どんどんかけ離れていくけど。

完成しました!


薄くスライスしていただきます。

 今回のレシピはシュトレンの簡易版でしたが、もっと手軽にシュトレンを味わいたいのであれば、通販やパン屋、お菓子屋でもゲットできます。
 逆に、超本格派をめざす!という方は、ドイツのレシピサイトを参考に、シュトレン作りに挑んでみては。ざわ・・・ざわ・・・。
(ドイツのレシピ投稿サイトCHEFKOCH.DE)

皆さんも今年は、シュトレンとともに、ドイツ風クリスマスいかがでしょうか。



2016年11月11日金曜日

【学生記事】 Wandernの秋?ドイツと山とちょびっと留学体験記

 みなさんこんにちは、Marktbrückeです。すっかり日が短くなり、空も高くなり、葉も色づき、秋が香る今日この頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
 芸術、スポーツ、読書…色々なことが楽しめる季節ですが、私は馬肥ゆる秋に偏重ぎみです(人間も肥えますよね)。そんなわけで、このままじゃいけない!歩こう!と気を引き締めていることもあり、今回のテーマは「歩くこと」に関してです。
 ドイツ語でどこかに行くこと、歩くことを表現しようとするときは、さまざまな表現がありますよね。普通にどこか行くならgehen、徒歩で行くことを強調するならzu Fuß gehen、乗り物ならfahren、飛行機はfliegenなどなど…。ただ基本的にこれらはみな目的地があるのが前提条件。ins Kinoとか、zur Uniとか、nach Deutschlandとか…(ドイツ語の授業を受けたことがある人は、この前置詞の多さ、使い分けにちょっとげんなりしたこともあるのでは?)。しかし、目的地がない時はどうするのか?放浪したいときは?ぶらぶらしたい時は?そんな時のために、ドイツ語には、これらとは別に「wandern」という動詞があるのです。
 このwandern、意味は「ハイキングをする」「さまよい歩く」「場所から場所へと移動する」、などなど。このおおもとにあるのは「決まった目的地を持たずにあっちこっちへ進む」というような感覚です。そしてドイツ人はこのwandernが大好きなのです。日本でハイキングというと、どちらかと言えば行楽シーズンのおじさまおばさま、子供連れの家族、というようなイメージがありますが、ドイツでは老若男女、ちょっとした休みにハイキングに出かける人がたくさんいます。
 しかし、目的地なしにあてもなく歩くことが、なぜそこまで人間を惹きつけるのでしょうか?もっと言ってしまえば、そこにどういった意味があるのでしょう。なんだか一生かけても分かりそうにないテーマですが、ここからちょっとMarktbrückeの留学の思い出話とともにそれについて考えてみたいと思います。
 1年の留学、半年ほど経った秋の始まり、私の気持ちは気温の低下に比例するように落ち込んでいきました。もともとへこみやすい性格に加え、なかなか上達していない(気がする)ドイツ語、どこにも居場所がないような気持ちなどなどあらゆるネガティブな感情に襲われた私は、もはや芋虫!もぞもぞと部屋でパソコンと向き合う寂しい生活を送っておりました。そういう時は、人の善意になんてなかなか気づかず、自分のエネルギーを全て、「ものごとをひたすら悪い方向に考える」ということに費やしてしまいます。いま思えば、笑ってしまうほどバカだなあ〜と思いますが、当時はそんな風に自分を客観視することも難しい気持ちでいたのです。
 しかし、パジャマで部屋にこもってYoutubeにかじりついていた私ですが(どうやら留学中落ち込んだ人はみんなこれをするみたいです)、何日か経つと、驚くべきことに、落ち込んでいることに飽きてきたのです。困った、落ち込むことすら出来なくなったらいよいよ何もすることがない…。この余ったエネルギーをどうしよう?…そうだ、山に登ろう!
 
 

 ということで、思い立ったら即実行!バスに半日ゆられてたどり着いたのは、Baden-Wüttemberg州のFeldberg。標高1493mでドイツでは二番目の高さです。このBaden-Wüttemburg州といえば何といってもSchwarzwald、黒い森ですが、実はゆるやかな山という感じなのですね。心はどれだけ落ち込んでいても、体だけはものすごく丈夫な私は、とりあえずこの山に登ってみることにしてみました。
 
登っている途中の風景です。一面広がる、暗めの森が全てSchwarzwald

 
突然の牛。羊もわんさかいました。
 

ちょっとwandernな感じだぞ…と思いつつ、


頂上です!

 ここで気づいたのですが、頂上というのはハイキングのゴールではなく、ただの中間地点。この後も降りたり登ったり、ハイキングは続くのです。そうか、これがwandernということだろうか?とその時ふと思ったのでした。
 そして、坂を登ったり下ったりする行為そのものに意味はない。でも、その時考えたことには、または何も考えずに登っている時間であっても、必ず何か意味がある!そう考えると、あてもなく、正解かどうか分からなくても歩き続けるというその行為は、なんだか人生に似ているのかもしれません。そして似ているからこそ、人はハイキングに惹かれるのでは…。
 と、哲学的満足感を得た私はこの山登りがきっかけで一人旅にもハマり、旅のトラブルが効果的なドイツ語学習になることにも気づき、だんだん元気を取り戻したのでした。
 さて、話を戻しましょう。秋は本来寒くなってきて、心も少し寂しい季節です。でも、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋、はたまた食欲の秋まで、人は何か自分から動くことで、逆に楽しみを見つけようとしているのかもしれません。書いているうちに私もまた、山に登りたくなってきました。どこかに行こうかなあ〜とちょっとFernweh(はたまたBergweh?)になったMarktbrückeでした。収穫の秋、みなさんも実りのある毎日を過ごせれば良いですね。それではまた!
 
Marktbrücke