前回、ドイツのミュンスターが「自転車の首都」であることを紹介しました。今回は、ドイツの自転車にやさしい街づくりの取り組みの断片を紹介します。
ドイツでは2年おきに自転車環境アンケートを行われています。アンケート実施は、全国ドイツ自転車連盟(ADFC)、ドイツ環境自然保護連盟(BUND)、連邦環境庁(Umweltbundesamt)の3者が協力して行っています。なおアンケート調査の結果は、連邦政府の全国自転車交通整備計画(Nationaler Radverkehrsplan NRVP)の基礎資料のためにも利用されています。
一番新しいアンケートは2005年に実施され、2万6,000のアンケート用紙が回収されました。その結果、都市人口の規模別にランキングが作成されましたが、人口20万人以上の大都市では、ミュンスターが前回に引き続き1位となり、「自転車首都」の名をさらに高めました。以下、2位キール、3位オーバーハウゼン、4位ハノーファー、5位ブレーメン、6位ライプツィヒ、7位ボン、8位マグデブルク、9位ビーレフェルト、10位カールスルーヘとなっています。ちなみに本来の首都であるベルリンは20位です。人口20万以下でみると1位はエアランゲン、人口10万人以下では1位はボーホルトでした。興味深いことに、「環境首都」として名を馳せているフライブルクは、出てきていません。
このアンケートはどのような項目が質問されているのでしょうか。以下に2005年のアンケート項目を具体的に示しておきます。質問項目は、大きく5つのグループに分けられ、全部で22項目からなっています。それぞれ対極的な2つの見解が示され、6段階でどちらに近いかを選ぶようになっています。点数総計によって、ランキングが導き出されています。
皆さんの身の回りの状況を考えながらチェックをしてみてください。どこが弱いかがはっきりしてくるでしょう。日本でもこうしたアンケートを広げる取り組みが広がるとよいと思います。
「ADFC自転車環境アンケート2005」
A. 自転車環境と交通環境
1.自転車の運転は楽しい。/自転車の運転はストレスである。
2.自転車に乗る人は、私たちの街では交通参加者として受け入れられている。/自転車に乗る人は、私たちの町では真剣に受け止められていない。
3.私たちの街では、全住民および全年齢階層の人が自転車に乗っている。/私たちの街では、自転車はどちらかというと子供の乗り物あるいはスポーツ用品とみなされている。
4.私たちの街では、自転車運転について多くの宣伝が行われている。/私たちの町では自転車運転について全く宣伝が行われていない。
B. 自転車運転における安全性
5.自転車を乗っている時は、安全と感じる。/自転車に乗っているとき、危険と感じる。
6.自転車利用者と歩行者とのトラブルはめったにない。/自転車利用者と歩行者とのトラブルは頻繁に起こる。
7.自転車利用者と自動車とのトラブルはめったにない。/自転車利用者と自動車とのトラブルは頻繁に起こる。
8.私たちの街では自転車専用道路に障害物はない。/自転車専用道路に多くの障害物がある(例、遮断格子、街灯柱)。
9.自転車盗難はほとんどない。/自転車盗難が頻繁に起こる。
C. 自転車運転における快適性
10.自転車専用道路と通行帯の広さは快適でゆとりがある。/自転車専用道路と通行帯の幅は狭すぎる。
11.通りの至るところに駐輪設備がある。/通りには適切な駐輪設備がほとんどない。
12.工事中の場所も自転車を快適にまた安全に通過できる。/工事中には大抵、下車して押して歩かなければならない。
13.簡単にまた低価格で自転車を公共交通機関に持ち込むことが出来る。/公共交通機関に持ち込むことは困難もしくは値段が高い。
D. 自転車運転の価値
14.近年、自転車交通のためにきわめて多くの取り組みがなされた。/ほとんどなされていない。
15.自治体当局は、自動車専用道路に車が駐車しないよう厳しく監視している。/自治体は自動車が自転車専用道路に駐車しても見過ごしている。
16.自転車専用道路は、定期的に清掃されている。/ほとんど清掃されていない。
17.信号の変化は、自転車利用者を考慮している。/信号の変化は自転車利用者を考慮していない。
E. インフラ整備状況・自動車ネットワーク
18.街の中心まで自転車で快適に行くことが出来る。/街の中心まで自転車で行くのは不便である。
19.自転車ですんなりと直接に行くことが出来る。/回り道をしなければならない。
20.一方通行の道でも、自転車には反対方向への走行が認められている。/一方通行の道で、自転車にも反対方向への走行は認められていない。
21.自転車利用者は、交通案内に従って快適に走行できる。/自転車利用者への交通案内がない、もしくは悪い。
22.日ごろ自転車で使っている道としては、主要道路以外にも快適な接続がある。/日ごろ自転車で使っている道としては、主要幹線道路しかない。
回答者の属性についての質問
・ 居住自治体、州
・ 年齢、性別、
・ 自動車免許の有無
・ 自家用車の所有の有無
・ バスや鉄道の定期券の所持の有無
・ 自転車利用の頻度
・ 自動車団体、自転車団体への加盟状況
K.O
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