獨協大学中央棟3F大会議室
日本とドイツにおける移民・難民・外国人労働者とその受入れ
グローバル化がすすむ現代世界においては、モノの移動とともに人の移動は国家の枠を越えてますます広がっている。一方、国家による移動の統制のあり方もますます複雑化しつつある。
人の移動は歴史上さまざまな要因により幅広くおこなわれてきた。19世紀の国民国家の成立以降、国家は国境を越えるそうした人々の移動をさまざまな形で統制してきた。人の移動は、個人や集団の経済的必要性、国家の政策・軍事、社会のありようから生じる。同時に人の移動は、社会や国家のあり方そのものに影響をあたえ、人々の意識や文化に変化をもたらしてきた。
本フォーラムの基本目的は、近代以降の日本とドイツにおける人の移動の歴史を比較し、両国の統合ないし排除の政策を吟味することである。さらに流入する人々を受け入れる国家や地域の人々の意識や文化の問題を検討することである。日本とドイツはこの1世紀半、人の流入の歴史においては似たような経験を経てきたが、現代における人の受入れという点においてはかなり異なる立場をとっている。
日本における流入民の問題は明治の時代から存在していたが、それが大きな問題となったのは、アジア・太平洋戦争の時代である。戦争で不足する労働力を中国や朝鮮から強制的に調達したからである。それは戦後も「在日コリアン」の問題として今日にいたるまで影響をおよぼしている。移民労働者の長い歴史を持つドイツでは、第二次世界大戦時に大規模な外国人ないし「ユダヤ人」の強制労働という経験を持つが、その解決のあり方は日本とは異なっている。
第二次世界大戦後、日本とドイツは経済復興にともなう外国人労働者および移民の導入において異なる対応をとった。日本が閉鎖的政策をとったのに対して、ドイツは積極的に外国人労働者を受け入れた。その背景には、ドイツにおける被追放者の問題や東西分断という歴史的要因があるだろう。だが、その後もドイツに留まった外国人労働者(「ガストアルバイター」)の問題は、日本の移民労働者政策に少なからず影響を与え、「在日コリアン」の問題との比較の可能性を提供している。
「壁の崩壊」やEUの成立は、1990年代以降、ドイツにおける流入民の問題に新たな展開をもたらした。旧ユーゴスラウ゛ィア難民の受け入れや東欧・ロシアからの経済難民や「帰還民(アウスジードラー)」の問題は、日本におけるベトナム難民の受け入れやブラジルなどからの「日系人」労働者の問題とどう重なり異なるのか。
こうした多様な移民の歴史と政策は、両国の人々の意識にどのような影響を与えているか、このフォーラムであきらかにしていきたい。
日本とドイツにおける移民・難民・外国人労働者とその受入れ
フォーラムの構成
〈第一日〉 12月8日 13:00〜17:00
開会挨拶
獨協大学学長 梶山 皓
獨協大学国際交流センター長 ハンス H. ゲートケ
基調報告
「日本とドイツにおける移民・難民・外国人労働者とその受入れ―比較のあり方」
増谷英樹(獨協大学)
[第一セッション]歴史的経験とその継承
司会: 黒田多美子・増谷英樹
「戦後ドイツにおける移民・流入民とその受入れ」
ディートリッヒ・トレーンハルト(ミュンスター大学)
「在日朝鮮人の歴史的形成・展開と日本の社会意識-大阪の場から考える」
杉原 達(大阪大学)
コメントおよび討論〈第二日〉12月9日 10:00〜17:00
[第二セッション]国家の政策と社会的受容
司会: 増谷英樹・大重光太郎
「ブランデンブルク州における移住と統合政策」
カーリン・ヴァイス (ブランデンブルク州政府移民統合省)
「在日(日系)ブラジル人の現在の動向と意識」
アンジェロ・イシ (武蔵大学)
「草加市の外国籍市民施策について」
青柳伊佐雄(草加市総合政策部人権共生課)
「『草加市国際相談コーナー』運営活動を通して見えたこと」
簗瀬裕美子(草加市国際相談センター)
コメントおよび討論
〈昼休み〉 12:30〜14:00
[第三セッション]移民の受容と国民意識の問題
司会: 増谷英樹・古田善文
「教科書のなかの移民・難民・外国人労働者―問題提起として」
黒田多美子(獨協大学)
「多文化共生社会における『国Kuni』と言葉」
岡村圭子 (獨協大学)
「パネル・ディスカッション」
ディートリッヒ・トレーンハルト、杉原 達、
カーリン・ヴァイス、アンジェロ・イシ、
青柳伊佐雄、簗瀬裕美子、黒田多美子、岡村圭子
結語
国際フォーラム委員長 黒田多美子
閉会の挨拶 獨協大学ドイツ語学科長 渡部重美
報告者リスト(報告順)
増谷 英樹 (獨協大学特任教授)
ディートリッヒト・レーンハルト (ミュンスター大学教授)
杉原 達 (大阪大学教授)
カーリン・ヴァイス (ブランデンブルク州政府移民統合省オンブズマン)
アンジェロ・イシ (武蔵大学准教授)
青柳 伊佐雄(草加市総合政策部人権共生課課長)
簗瀬 裕美子(草加市国際相談コーナー事務局)
黒田 多美子(獨協大学教授)
岡村 圭子 (獨協大学専任講師)
20. INTERNATIONALES FORUM DER DOKKYO UNIVERSITÄT
Migration und Integration von Ausländern in Japan und Deutschland
Programm des Forums
1.Tag 8.Dezember 2007 13.00 – 17.00 Uhr
Begrüßung zur Eröffnung des Forums
Rektor der Dokkyo-Universität, Ko Kajiyama
Leiter des Internationalen Zentrums, Hans H. Gaethke
Leitvortrag
Migranten und ausländische Arbeitnehmer und deren Aufnahme in Japan und Deutschland – Methoden des Vergleichs
Hideki Masutani (Dokkyo Universität)
1. Sektion: Historische Erfahrungen
(Sitzungsleitung: Tamiko Kuroda, Hideki Masutani)
Korporatistische Integration, Asylkrise und staatliche Integrationspolitik. Deutschland seit 1955
Dietrich Thränhardt (Universität Münster)
Historische Formung und Entwicklung der in Japan ansässigen Koreaner sowie das gesellschaftliche Bewusstsein Japans – am Beispiel Osakas
Toru Sugihara (Universität Osaka)
Anmerkungen und Diskussion
2.Tag 9. Dezember 2007 10.00 – 17.00 Uhr
2.Sektion: Staatliche Maßnahmen und gesellschaftliche Akzeptanz
(Sitzungsleitung:Hideki Masutani, Kotaro Oshige)
Zuwanderung und Integrationsmaßnahmen in Brandenburg
Karin Weiss (Integrationsbeauftragte des Landes Brandenburg)
Die gegenwärtige Situation und das Bewusstsein der in Japan ansässigen( japanischstämmigen) Brasilianer
Angelo Ishi (Musashi Universität)
Über politische Maßnahmen der Stadt Soka für Bürger mit nicht-japanischer Staatsangehörigkeit
Isao Aoyagi (Abteilung für Menschenrechte der Stadt Soka)
Tätigkeitsbericht der “Interkulturellen Informationsstelle der Stadt Soka”
Yumiko Yanase (Interkulturelle Informationsstelle der Stadt Soka)
Anmerkungen und Diskussion
(Mittagspause) 12.30 – 14.00 Uhr
3. Sektion: Akzeptanz der Migranten und das Problem des nationalen Bewusstseins
(Sitzungsleitung:Hideki Masutani, Yoshifumi Furuta)
Migranten, Flüchtlinge und ausländische Arbeitnehmer in japanischen und deutschen Schulbüchern
Tamiko Kuroda (Dokkyo Universität)
“Kuni” und Sprache in der multikulturellen Gesellschaft
Keiko Okamura (Dokkyo Universität)
Podiumsdiskussion
Dietrich Thränhardt, Toru Sugihara, Karin Weiss, Angelo Ishi,
Isao Aoyagi, Yumiko Yanase, Tamiko Kuroda, Keiko Okamura
Schlusskommentar
Leiterin des Internationalen Forums, Tamiko Kuroda
Schlussansprache
Leiter der deutschen Abteilung, Shigemi Watanabe
Vortragende (Vortragsreihenfolge)
Prof. Hideki Masutani (Dokkyo-Universität)
Prof. Dr. Dietrich Thränhardt (Universität Münster)
Prof. Dr. Toru Sugihara (Universität Osaka)
Prof. Dr. Karin Weiss (Integrationsbeauftragte des Landes Brandenburg)
Prof. Angelo Ishi (Musashi Universität)
Isao Aoyagi (Abteilung für Menschenrechte der Stadt Soka)
Yumiko Yanase (Interkulturelle Informationsstelle der Stadt Soka)
Prof. Tamiko Kuroda (Dokkyo-Universität)
Univ.Dozentin Dr. Keiko Okamura (Dokkyo-Universität)
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